■売り込む時代は終わった。
「近代マーケティングの父」「マーケティングの神様」と呼ばれているアメリカの経営学者フィリップ・コトラー氏をご存知の方は多いと思いますが、顧客のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを説くSTP理論など現代マーケティングの第一人者であります。
しかし、自身の著書「マーケティング3.0ソーシャルメディア時代の新法則(朝日新聞出版)」の中で、マーケティングは新しい時代に入り、モノを売り込む「製品中心」のマーケティング1.0の時代から、顧客満足を目指す「消費者志向」のマーケティング2.0の時代へ、そして、企業そのものの社会への存在意義・存在価値すら問われるマーケティング3.0の時代へと変化したと述べています。
マーケティング1.0から3.0を表にしてみると以下のようになります。
マーケティング | 1.0 | 2.0 | 3.0 |
中心 | 製品中心 | 消費者志向 | 価値主導 |
目的 | 製品を販売すること | 顧客満足、つなぎとめること | 社会の豊かさ |
可能にした力 | 産業革命 | 情報技術 | ソーシャルメディア |
コンセプト | 製品開発 | 企業と製品のポジショニング | ミッション・ビジョン・価値 |
価値提案 | 機械的価値 | 機能的・情緒的価値 | 機能的・情緒的・精神的価値 |
コミュニケーション | 1対多数 | 1対1の関係 | 多数対多数の協働 |
上記の表を見てみると分かるかと思いますが、マーケティングは大きく変化しています。コンセプトでは、製品
開発をすることがメーンコンセプトでしたが、マーケティング2.0では顧客の企業と製品のポジショニングをどこに
置くかが重要となり、マーケティング3.0では企業の社会的存在価値を表すミッション、ミッションを達成した
際の将来的なビジョンがコンセプトとなります。
また価値提案では、情緒的価値に加えて精神的価値がプラスされています。この精神とは企業のミッション・
ビジョンその会社の企業精神を指します。そこで差別化が行われ共感が生まれるポイントと言っても過言では
ありません。
ただ、間違えてはいけないのですがマーケティング3.0はそれまでのマーケティング1.0と2.0をベースにした状
態で導入しましょう。あくまでもバージョンアップを行うという認識が必要です。
今日の日本の主流は未だマーケティング2.0と言えるでしょう。ただ製品開発しか行っていない企業も多く存在
することも事実です。日本の高度成長期の経済成長率が高かった時代のようにいいものを作れば売れる!
高い技術力があれば売れるんだ!と考える方もいるかもしれませんが、世の中は確かに原点となる人間主
義な世の中へ移行しており「世界をよりよい場所にする」という目的・理念が大事になってくるのです。
■こらからは共感の時代へ
ソーシャルメディアの登場により企業と一般消費者が繋がりやすくなりました。一般消費者同市でも繋がり易くなったのも事実です。
これはどういうことが言えるのでしょうか?以前のプロモーションではTVCMを流したりチラシやポスティングと
いった企業側が一方的に情報を発信しつづける方法が一般でした。
ソーシャルメディアが作り上げたのは双方向コミュニケーションの機会です。ネットを使い全世界の人たちと
一瞬にしてコミュニケーションをとることが可能になりました。
そして企業や商品を中心としたコミュニティを形成することにより、効果的な広告を出すことが可能になった
のです。それにより、コモディディ化されていた商品での差別化ではなく、社会をよくしたいという企業の想い
やミッションに共感し、共感した企業が提供する商品サービスは差別化され選ばれやすくなります。
そしてその共感は、また新たな共感を生みます。共感したファンはあなたの商品サービスを宣伝してくれる
のです。
このような経験あなたにもあるはずです。美味しいラーメン屋さんを見つけたら友達に勧めたくなったり、そ
して紹介を受けた友達もその美味しかったという言葉を信用し訪れやすくなります。
また通販で商品を買うときの判断基準にレビューを見る人も多くなったのではないでしょうか。
まさしく顧客が宣伝マンとなり自社の商品サービスを他の顧客にアプローチをしてくれる時代になっている
のです。
■共感の落とし穴
ただ、共感にも良い反応の共感がある反面、悪い共感も出てくる可能性があるのです。そしてその悪い共
感はすぐに広まってしまう危険性があります。
その為に企業側は顧客と接するすべての場面において一貫した行動をとる必要があります。
そのことを端的に表しているのが、コトラーが提唱している3iです。
「ブランド・アイデンティティ、ブランド・イメージ、ブランド・インテグリティ」の3つのiを指し
て3iモデルと呼びます。
ブランド・アイデンティティは、企業側が顧客に対してこう思われたいという旗印そのものを顧客の心理に位置づけさせるということであり。
ブランド・イメージは、ブランドに対する顧客の印象であり、情緒的なニーズを解決するということです。
ここまではマーケティング2.0で行われてきたSTPとブランド戦略になります。
マーケティング3.0では、ここにブランド・インテグリティが加わります。これはコトラー曰く「誠実であり、約束を果たし、当該ブランドに対する消費者の信頼を醸成する」つまり顧客との約束事を守っていくことになります。
ブランド・インテグリティの実現に関しては、差別化とポジショニングが重要となりますが、差別化とは独自の付加価値であり、ポジショニングは顧客の心理的な自社の立ち位置です。企業のミッションが、人々からリスペクトされるものであれば、それがまさに差別化となる。
それを追求するのがマーケティング3.0であり、こらから求められるマーケティングなのです。
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